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はじめに
顆粒球上には,ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen,HLA)のクラスI抗原や血液型のI抗原,P抗原など以外に顆粒球抗原(好中球に特異的に発現する抗原およびほかの細胞と共有する抗原)が存在する.
輸血または妊娠によって,顆粒球抗原に対する同種抗体が産生される可能性があり,その結果として顆粒球が破壊され,顆粒球減少症が生ずる.同種顆粒球抗体が関与する重要な病態として,新生児顆粒球減少症(neonatal alloimmune neutropenia,NAN),輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury,TRALI),顆粒球輸血不応(refractoriness to granulocyte transfusion)などが知られている.
また,顆粒球抗原と特異的な反応性を示す自己抗体が関与する自己免疫性好中球減少症の報告事例も存在する1).これらの病態の診断および原因解明のため,原因抗体の検出・同定が非常に重要である.
しかし,現状では抗顆粒球抗体の検出は容易でなく,検査方法として混合受身赤血球凝集法(mixed passive hemagglutination,MPHA),顆粒球凝集法(granulocyte agglutination test,GAT),顆粒球蛍光抗体法(granulocyte immuno-fluorescence test,GIFT),MAIGA(monoclonal antibody specific immobilization of granulocyte antigens)法などが報告されているが,目的に応じた検出方法の選択または2種類以上の検査方法の組み合わせなどが推奨される.
本稿では,顆粒球抗原系(human neutrophil antigen,HNA)の分類,臨床的意義,さらにはMPHAを中心に抗顆粒球抗体の検出法について概説する.
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