病気のはなし
出血性大腸菌感染症
川村 智行
1
,
西本 佳代
1
1大阪市立大学医学部小児科学教室
pp.308-313
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903020
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新しい知見
病原性大腸菌O157:H7の脅威はその診断法を進歩させた.近年はDNA解析により病原菌の遺伝子を同定することで診断に用いられるようになった.従来の方法では,検体保存条件が悪い場合など病原菌が死んでしまっていて同定することは不可能であった.さらに培養に長時間を要することは治療法の決定や公衆衛生的に感染拡大の防止のうえでも問題である.その点,DNA診断を用いると,菌由来のDNAが検体の中に存在する限りは同定が可能である.PCR法でDNAを増幅することで感度を上げ,さらに検査時間を短縮することができるようになった.また,毒素をコードしている遺伝子や薬剤耐性をコードしている遺伝子を同定することで病原菌の性格や病態まで予想することができる.今回O157に対してのDNA診断法が多数開発・改良された.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.