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老化度チェック—定期健康診断における生体総合機能の老化度の評価
岳 マチ子
1
,
横山 泉
1
,
長谷川 元治
2
1東京女子医科大学成人医学センター
2東邦大学医学部
pp.961-963
発行日 1996年10月1日
Published Date 1996/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902903
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はじめに
人はたとえ健康であっても老化する.老化の最終段階が個体の死である.個体の老化は,個々の臓器,および調節機能(ホルモン,神経,免疫など)の老化によるものであるが,これらはその臓器を構成する細胞の老化,すなわち加齢変化に基づいている.老化にはこのように健康であっても生じる生理的老化と,なんらかの因子がこれに加味されることで加速されたり修飾された病的老化がある.細胞の老化については現在,遺伝子説,活性酸素傷害説などいくつかの説が挙げられている1〜3).
このような細胞および臓器の老化は当然,それに対応する臨床検査値にも反映されてくるはずである.したがって,検査値から被検者の臓器の機能的年齢を評価したり,またある目的を持った検査群のデータを総合的に判定することで個体の総合的機能を評価することも可能であると考えられる.しかしながら,従来の臨床検査の基準範囲,あるいは正常値は健常成人の平均値±2×標準偏差ないしは90パーセンタイル値などが用いられており,そこには加齢に伴う変化は考慮されていない場合が多かった.
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