トピックス
滑膜肉腫の染色体異常と分子生物学
吉田 春彦
1
,
長尾 勝人
2
,
井藤 久雄
2
1鳥取大学医療技術短期大学部衛生技術学科病理
2鳥取大学医学部病理学第1講座
pp.867-868
発行日 1996年9月1日
Published Date 1996/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902881
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はじめに
ヒト肉腫は中胚葉の間葉組織に起原を有する悪性腫瘍である.発生頻度は低いが,体のどこにでも生じ,また低年齢層から高年齢層のどの年代にも発生する.臨床病理学的には発生部位と年齢により,肉腫の種類が異なることが知られている.組織学的には,肉腫は母組織との類似性によって分類・整理され,それぞれの腫瘍グループで組織亜型が区別されている.その理由は,肉腫の種類,亜型によって悪性度,予後が異なり,治療(手術)の方法が異なってくるからである.したがって,肉腫の診断には迅速性と正確性が病理医に求められ,日常の組織検査のほかに電子顕微鏡による検査,酵素抗体法による免疫染色が補助診断法として利用されてきた.
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