今月の表紙
滑膜肉腫の細胞診
古田 則行
1
,
都竹 正文
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.436
発行日 1994年5月1日
Published Date 1994/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902021
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滑膜肉腫は主に関節近傍に発生し,関節滑膜組織に模倣した組織所見を呈する悪性腫瘍である.腫瘍は四肢の大関節付近に好発することが多く,関節腔内に発生することはまれである.したがって,滑液嚢や腱鞘を侵すことが多い.臨床的には他の肉腫と比較すると腫瘍の存在に気づいてから初回治療までの期間が長いことが特徴である.本腫瘍は,比較的容易に穿刺細胞診が行えることが多いため,軟部腫瘍の術前診断の1つとして施行される機会が増えてきた.
病理組織学的には滑膜の形態を模倣した二相性(biphasic pattern)をとるのが特徴である.1つは上皮様細胞(滑膜細胞類似の上皮様,偽腺管構造を示す細胞)と,もう1つは線維肉腫様の紡錘形細胞の2種類の混在である.一方,二相性発育のはっきりしない単相型(monophasic type)がある.腫瘍細胞は紡錘形の単一細胞で,しばしば血管外皮腫様構造(hemangiopericytoma-like pattern)を示す.
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