トピックス
グリコヘモグロビンの測定と糖尿病管理
星野 忠夫
1
1慶應義塾大学医学部附属薬化学研究所
pp.766-767
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902857
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■増加する糖尿病
戦後50年を経て貧しかった食生活は飽食の時代となり,生活環境も変わって寿命も延び,疾病分布が変わった.なかでも糖尿病は高年者のみならず若年層にも増加しつつあり,日本における糖尿病有病率は,最近の20年間で約3倍増加と推定され,今後さらに増加すると考えられている.糖尿病の増加は生活様式の都市化によると考えられ,国外でも同様の傾向があり,特に開発途上国で著しく,糖尿病は地球人病となりつつあるといえる.
1994年度厚生省糖尿病調査研究報告書によれば,安定型HbA1c5.6%以上を糖尿病とすると,現代の日本における糖尿病の総患者数は40歳以上で500万人,40歳未満を加えると600万人と推定されている.表に示す健診による耐糖能調査によっても,糖尿病型が4.7〜5.7%,耐糖能異常(impaired glucose tolerance;IGT)を含む境界型が37.4〜49.2%と調査地域によって多少の差はあるが,糖尿病を含めた耐糖能異常者はいわゆる健常者の約半数に及んでいる.
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