検査ファイル
総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比の測定
大久保 滋夫
1
,
中原 一彦
2
,
大久保 昭行
2
1東京大学医学部附属病院検査部
2東京大学医学部臨床検査医学
pp.1095-1096
発行日 1995年12月1日
Published Date 1995/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902580
- 有料閲覧
- 文献概要
[1]総分岐鎖アミノ酸/チロシンのモル比
劇症肝炎や肝不全など重篤な肝障害時には肝におけるアミノ酸の代謝は著しく異常となり,血漿中の芳香族アミノ酸(aromatic amino acids;AAA)のフェニルアラニン(Phe)およびチロシン(Tyr)は上昇する.一方,このとき,主として筋組織で代謝される分岐鎖アミノ酸(branched chain amino acids;BCAA)のバリン(Va1),ロイシン(Leu),イソロイシン(Ile)の血漿濃度は低下する.Fischerは肝性脳症時には総BCAA対AAAの比が低下すること,アミノ酸輸液によりアミノ酸インバランスを補正すると脳症が軽快することを報告した1).その後,総BCAA/AAA比は健常者に比べて,急性肝炎→慢性肝炎(活動性)→肝癌・代償性肝硬変→非代償性肝硬変→劇症肝炎の順に低下し,肝実質細胞障害の重症度と併行することが確かめられた2).これにより総BCAA/AAA比は重症の肝性脳症障害の評価と,肝性脳症の治療のために行うBCAA輸液療法の指針として利用されてきた.
血漿中のアミノ酸は従来,アミノ酸分析計(高速液体クロマトグラフィー;HPLC)で数時間を用いて測定されてきた.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.