技術講座 微生物
ノカルジアの同定
矢沢 勝清
1
,
三上 襄
1
1千葉大学真核微生物研究センター化学療法分野
pp.877-884
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902517
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新しい知見
ノカルジアの同定にはキサンチン,チロシン,さらにカゼインなどの分解や糖からの酸産生のように判定までに長時間を要する試験があり,結果が得られるまでには2〜3週間が必要である.ノカルジアは真性細菌であるが,形態学的には菌糸状の発育形態を示すことから,抗生物質の生産菌であるStreptomycesとの判別が難しい.またノカルジアはMycobacteriumと分類学的に近縁であり,弱い抗酸性を示すことから,一部の速発育性のMycobacteriumとの判別にも困難が伴う.
ノカルジアが種に特異的な薬剤感受性パターンを示すことをわれわれは明らかにしてきた.このノカルジアの種に特異的な薬剤感受性パターンの利用,特にイミペネム,トブラマイシン,カナマイシン,さらに5-フルオロウラシルを用いることにより,わが国で問題となる5種の病原性ノカルジア(N. asteroides, N. farcinica, N. nova, N. brasiliensis, N. otitidiscaviarum)の同定が2〜3日と短時間で可能である.
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