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新しい糖尿病治療薬アカルボース—糖の流れからみた糖尿病治療
津田 英明
1
1バイエル薬品(株)MDプロダクトマネジメント
pp.822-823
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902505
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近年,糖尿病が非常に注目を浴びているが,その背景には糖尿病患者の急激な増加がある.厚生省糖尿病調査研究班の報告によると,患者数は500万人を超え,40歳以上の10人に1人は糖尿病という状況にあり,今後ますます増加する危険性が指摘されている.しかも成人の失明原因の第1位は糖尿病性網膜症によるものであり,年間3,000人以上の方が失明している.同様に人工透析を導入した患者のうち約30%(6,400人)が糖尿病性腎症によるものであり,糖尿病性神経障害も含めたこれら合併症によるquality of life(QOL)の低下を予防することが焦眉の急である.現在糖尿病治療は,糖尿病の合併症をいかに予防するか,または糖尿病発症をいかに予防するかに重点が移ってきている.
糖尿病は,“慢性的な血液中のブドウ糖の上昇”として認識される疾患であり,その原因は血糖降下作用を持つホルモンであるインスリンの不足(インスリン分泌不全),またはインスリンの働きの不足(インスリン抵抗性)である.したがって,従来糖尿病の治療の中心は,このインスリンを直接補うか,インスリンの分泌を促進する薬剤を投与するかであった.しかしながら,作用が強力であったり,肥満を助長するなどの弊害があり,比較的軽症の糖尿病に積極的に介入することを困難なものにしていた.
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