今月の主題 臨床検査の標準化
検査と疾患—その動きと考え方・95
糖尿病;糖負荷試験
羽倉 稜子
1
,
古河 享子
1
,
原 陽子
1
Ryouko HAGURA
1
,
Kyouko FURUKAWA
1
,
Youko HARA
1
1朝日生命成人病研究所内分泌代謝科
pp.1587-1596
発行日 1984年11月15日
Published Date 1984/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912418
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
糖負荷試験は,糖尿病を診断するための有力な検査法として長い間用いられてきたが,負荷するグルコースの量や,負荷試験の結果を判定する基準値に統一性が無く,検者がもっとも適当と思うものを選んで行っていたというのが実情であった.糖代謝異常の軽いものでは,ある判定基準を用いると糖尿病と診断されるが,他の判定基準を用いると糖尿病ではないという結果が得られる場合がしばしばあった.日本糖尿病学会では,このような混乱を避けるためにも,共通して用いられる判定基準の必要性を痛感し,1970年,「糖負荷試験における糖尿病診断基準委員会報告1)」に,「糖尿病の診断に用いるための糖負荷試験の判定基準についての勧告」という副題を付けて公表した.本報告では,100gグルコース負荷試験(GTT)と50gGTTの判定基準を設定するとともに,糖尿病の概念から説き起こし,糖尿病診断におけるGTTの役割と限界についても論及した.
以来10年,わが国においては100gまたは50gGTTが,糖尿病診断の有用な検査法として普及し,定着していた.世界的にみても,100gと50gが多用されていたが,その判定基準はまちまちで,各施設間相互の比較が困難であった.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.