増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅵ.重心動揺検査法
3.検査の実際 2)症例—検査データの読みかた
山田 勝士
1
1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.312-317
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902380
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はじめに
1983年に日本平衡神経科学会が定めた重心動揺検査の基凖1)は,本検査を基本検査と精密検査とに分けている.基本検査は,動揺の前後・左右径(できれば面積),動揺の型,動揺の中心,開閉眼差,動揺の定常性の観察を,精密検査は,単位軌跡長,重心動揺実効値,振幅確率密度分布と標準偏差,パワースペクトルを評価の対象としている.施設によっては,このほかに動揺速度,棄却楕円,8方向別ベクトル動揺図などを評価の対象として用いているところもある.どのパラメータも一長一短があり,1つのパラメータが動揺の全体像を反映することが困難なため,このようにいくつかのパラメータが考案されている.われわれの施設では,アニマ社製のグラビコーダーSG1を使用し,総軌跡距離,重心動揺実効値,動揺の型を主なパラメータとし,記録時間は60秒としている.記録は,開眼と閉眼状態で,それぞれ両脚とマン起立で行っている.本稿では,実際の症例の重心動揺図を数例提示し,基本検査である動揺の型と開閉眼差(ロンベルグ率)について述べる.
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