技術解説
血液検査データの読みかた(2)
日野 志郎
1
1東京逓信病院内科
pp.206-210
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915731
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I.網赤血球数
網赤血球の約1/8は,古い死にかけの赤血球ではないかとの意見(妹尾)があるが,一般には,核がとれた若い赤血球だと考えられている。若い赤血球のなかに残っているリボ核酸(RNA)が,生体染色によって顆粒状あるいは網状に染めだされるのである。
骨髄のなかには,赤芽球とほぼ同数の網赤血球があると考えられ1),それが血液へつぎつぎに出てきて,1〜3日のうちにRNAを失って成熟赤血球になる。適度な低酸素血症のような条件のもとでは,それが刺激になって骨髄内の網赤血球が血中に出てきて,血中の網赤血球数は約2倍になる1)。このばあい,骨髄内の網赤血球は血中の網赤血球に比して網状体を多く含んでいるので,網状体の多い網赤血球が血中にふえる。すなわち,Heilmeyerの分類でIV型の方からI型の方へ推移する。そればかりでなく,しばしば赤芽球が血中に出てくるから,そのようなばあいは特殊の条件下にあることが推移される。
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