増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅱ.磁気共嗚画像検査法(MRI)
3.検査の実際
2)頭頸部
石井 清
1
1仙台市立病院放射線科
pp.167-174
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902347
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検査の進めかた
頭頸部の画像診断法にはMRIやX線CTのほかにX線単純撮影,超音波断層撮影や放射性同位元素を用いた腫瘍シンチグラムなどがあり,検査に当たっては臨床所見や病変の発生部位を考慮して,適切な検査法を選択する必要がある.単純X線撮影は骨の破壊状態が良く描出されるため,眼窩や副鼻腔,聴覚器官などの骨に囲まれた部位の病変でスクリーニング検査として用いられている.超音波断層法は甲状腺腫瘍などの頸部の軟部組織腫瘤やリンパ節転移の診断に役だつ.X線CTは骨だけではなく腫瘤など軟部組織も良好に描出するため,精査としてよく用いられている.MRIはCTに比べて軟部組織のコントラストが明瞭で病巣がわかりやすく,造影剤を使わなくても頸動脈などの血管が描出されるため,最近では精査として施行される頻度が高まっている1〜4).
頭頸部のMRIの撮像では,原則としては頭部コイルまたは頸部コイルを使用し,まず横断像のT1強調像とT2強調像を撮像する.必要に応じて冠状断,矢状断の撮像が追加される.また腫瘍や膿瘍などでは病巣の範囲を明らかにするために,造影剤(Gd-DTPA)の静脈内投与が必要となる.眼窩や中耳,耳下腺,頸部などの浅在性の病変の検査においてはより微細な構造を描出するために表面コイルを装着して撮像したほうがよい場合もある.
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