連載エッセイ 【Klein aber Mein】・16
頭頸部外科にどっぷり(その2)
浅井 良三
1,2
1神戸大学
2兵庫医科大学
pp.1058-1059
発行日 1995年11月20日
Published Date 1995/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901268
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3)舌ガン,口底ガン 舌ガン,口底ガンの患者が耳鼻科に受診するようになりました。その大部分が舌縁に発生した潰瘍で,そこから口底にひろがった潰瘍です。唯一例,舌の中心性に指頭大球形可動性の腫瘍で弾力性硬の症例があり,摘出組織検査で扁平上皮ガンと判明した珍しい45歳の男子を診た。腫瘍摘出後再発なく20年後に肝ガンで死亡しました。
かつて京大耳鼻科で舌ガン入院例を調査したところ5年以上の治癒率25%の低率でした。これをもとにして治療法を反省し ①Keilexzionはよくない。常にHemiglossektomieであること,②口底の清掃顎下リンパ節摘出,顎下腺,舌下腺を摘出,③リンパ節転移があれば頸部郭清,を原則としてその後7年の成績をみると50%の治癒率を得ました(京都府医師会雑誌)。Hemiglosse—ktomie後単純縫合でも,また,D-p flapによる再建でも術後の発声障害,嚥下障害には大差ありません(熊倉。耳鼻臨床誌)。舌の亜全摘でも舌根部が残れば発音,嚥下機能は回復します。咀咽が困難で食物塊が頬嚢にはいり込み口腔に出ないので箸を使って出さないと嚥下できないようです。
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