増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅱ.磁気共嗚画像検査法(MRI)
2.原理・装置・取り扱い
畑 雄一
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学教室
pp.147-153
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902342
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原理
1.原子核のスピン
NMR現象は,磁場中に置かれた特定の条件を満たす原子核が,特定周波数の電磁波を照射されることによって生じる現象である.特定の条件を満たす原子核とは「原子核を構成する陽子と中性子の数がともに偶数ではないこと」である.このような条件の原子核は磁気的性質(スピン)を有し,微小な磁石(磁気双極子)と考えることができる.人体を構成する原子では1H,13C,31Pなどが条件に該当するが,1Hは水素原子の同位元素中で占める割合が極めて高く,また感度も高いことから,MRIで対象となるのは通常1Hである.1Hの原子核は言うまでもなく陽子1個で構成されており,MRIではプロトンと呼びならわされている.
人体中の水素原子は無数に(単位体積当たり約10の23乗個)存在する.外部磁場の存在しない場合には,原子核の磁気モーメントの方向はばらばらであり,全体としては磁気的性質を持たない(図1).
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