増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅰ.超音波検査法
2.原理・装置・機器
甲子 乃人
1
1東芝メディカル(株)技術本部技術部
pp.13-21
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902310
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超音波診断装置の基礎
1.パルス反射法
人体の軟部組織は,その組織や臓器の種類によって音響的性質が異なっている.そこで,先端に振動子(圧電素子)が取り付けられたプローブ(探触子)から,ごく短時間のパルス状の超音波を体内に発射すると,超音波は細いビーム状に生体中を伝播し,音響的性質が異なる組織の境界でその一部が反射して,プローブに戻ってくる.超音波が,生体の軟部組織を伝わる速度を1,530[m/s]と仮定すると,反射エコーは深さ1[cm]当たり約13[μs]でプローブに戻ってくる.つまり深さ1[cm]からのエコーは約13[μs]後に,深さ10[cm]からのエコーは約130[μs]後に戻ってくる.
超音波パルスを発射後,直ちに送受信兼用のプローブを受信に切り替え,生体内を伝わる途中で次々と発生する反射エコーを受信する.このようにして,反射エコーが戻ってくるまでの時間やその強さを測定することにより,生体組織の音響的性質の深さ方向の分布が得られる.反射エコーは,生体組織の音響的性質の差が大きいほど強い信号が得られる.
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