増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅴ.眼振電図検査法
2.原理・装置・取り扱い
深谷 卓
1
1関東逓信病院耳鼻咽喉科
pp.273-275
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902374
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
眼振計の原理
眼球には角膜と網膜の間に電位があり,角膜側が(+)で網膜側が(-)になっている.この電位を角膜-網膜電位(corneo-retinal potential)ないし静止電位(resting potential)と呼ぶ.眼球運動とともにこの電位も変動するので眼球を挟む位置に電極を設置すればこの電位を記録できる.実際に,眼球が10°変化したときで50〜200μVの大きさの電位変動が誘導できるので脳波計ほどの増幅があれば記録できる.また,眼球の偏位角が30〜40°以内では,電位変動と眼球の偏位角の間に直線性もある.
この眼球の偏位に伴う角膜-網膜電位の変動を増幅,記録したものが眼振図(electronystagmograph)で,増幅・記録する装置を眼振計(electronystagmography;ENG)という.ENG注)は簡便に眼球運動を記録,解析できるので,耳鼻咽喉科,神経眼科,神経内科,小児科,脳神経外科などで用いられている.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.