増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅰ.超音波検査法
1.超音波検査の現状
遠田 栄一
1
1三井記念病院中央検査部
pp.10-11
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902308
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超音波検査の歴史
現在医療で使われている超音波診断装置をはじめ,超音波洗浄器など超音波を用いた機器は日常生活に深く浸透しているが,その歴史は1880年フランスのCurie兄弟による圧電効果の発見に始まる(表).しかし,指向性が鋭く音響学的性質の異なる媒質の境界面で反射する超音波の特性を利用し,その実用化に成功したのは第一次世界対戦中のことであった.1917年フランスのLangevinは潜水艦探知用ソナーの開発に世界で初めて成功,これが超音波機器の第1号となった.その後ソナーは機器の進歩とともに普及し,1931年には日本海軍でも使用が始まっている.このように超音波は当初,水中の物体を探知する目的で応用開発が行われ,後に敵艦発見のための聴音機や音響探信機,金属中の微小な傷やひび割れを見つける金属探傷器などへと発展した.
一方,臨床医学への応用はドイツのDussikが1942年に透過法を用いて脳室投影像を描出(Aモード法)したのが最初で,その後1949年HowryとBlissによる超音波断層像(Bモード法)の開発,Ludwingの胆石描出成功例へと続く.また,1952年にはDonaldらが接触走査法(compound scan)を開発し,超音波検査法普及の基礎を作った.
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