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劇症型A群レンサ球菌感染症
兼板 佳孝
1
1日本大学医学部第一内科
pp.1107-1108
発行日 1994年12月1日
Published Date 1994/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902204
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はじめに
A群レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)は咽頭炎,扁桃腺炎,猩紅熱,急性糸球体腎炎,リウマチ熱などの起因菌として知られているが,1980年代のなかばごろから欧米においてA群レンサ球菌感染により,壊死性筋膜炎・筋炎などの軟部組織の炎症と重篤な循環不全をきたした症例が相次いで報告されるようになった1〜3).これらの疾患は黄色ブドウ球菌感染によるtoxic shock syndromeと類似する病態としてtoxic shock like syndromeと呼ばれている.
わが国でも1993年清水ら4)が本邦第1例を報告して以来,本症例の報告が相次いでいる.toxic shock like syndromeの日本語訳は用いられず,劇症型A群レンサ球菌感染症と呼ばれるのが一般的で,最近マスコミではその死亡率の高さから“人喰いバクテリア”などと表現され話題となっている.
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