増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅹ.輸血
3.抗グロブリン試験と不規則抗体
加藤 俊明
1
,
関口 定美
1
1北海道赤十字血液センター
pp.325-330
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901986
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抗グロブリン試験(anti globulin test)はクームス試験ともいわれ,1945年CoombsらによってRh式血液型抗体(抗Rh)を検出する方法として考案された.抗Rhは通常,妊娠や輸血などによるIgG性の免疫抗体であるため,赤血球に抗体が感作されていても凝集反応を起こすことはできない.したがってCoombsらはヒト血清をウサギに免疫した抗グロブリン抗体を用いて,IgG感作赤血球を架橋し凝集反応を起こさせた.これによって抗Rhの検出や新生児溶血性疾患の診断,さらには抗グロブリン試験でなければ検出できない抗体があることを証明した.
その後,多くの研究者によって抗グロブリン試験の有用性が認められ,多種多様な抗体の検出から新たな血液型の発見や他の応用方法へと発展し,現在では輸血学のみならず臨床検査,細菌学,法医学など広範な領域で利用され,特筆すべき重要な発見と評価されている.
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