測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
抗グロブリン試験の基礎
臼井 美津子
1
1東大医科研アレルギー学研究部
pp.333-336
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201344
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
抗グロブリン試験はクームス試験とも呼ばれている.開発者R. R. A. Coombsの名を冠して呼んだのがクームス試験,反応の原理に基づいた呼び方が抗グロブリン試験である.すなわち,赤血球のようなある程度の大きさの粒子状の抗原に,それに対応する抗体が結合して肉眼で見えるような塊を作る現象を凝集反応と呼び,凝集反応を起こすような抗体を凝集素と呼んでいるが,中には,対応する抗体と抗原とが結合はしていても,眼に見えるような凝集塊を作れないような反応系もある.このような時に,抗体が属している免疫グロブリンに対する抗体(抗グロブリン抗体)を加えてやると,抗原粒子に結合している抗体分子に抗グロブリン抗体が結合して,眼に見えるような凝集塊が形成されるので,抗原粒子に抗体が結合していることが分かる.これが抗グロブリン試験であり,開発者の名をとってクームス試験と呼ぶものである.
1945年に発表されたが,既に1908年,C. Moreschiが細菌,赤血球の凝集反応に,血清タンパクに対する抗体を加えると反応が強くなることを報告しているが,顧みられることなく埋もれてしまった.1939年,Levine & Stetsonが,ヒトでの血液型不適合妊娠によって同種免疫が成立することを明らかにし,翌40年にLandsteiner & Wienerが発見したRh式血液型との関連が判明して以来,Rh式血液型の判定,不適合妊娠や不適合輸血によって産生された抗体の検出・同定が,臨床上の主要な課題となった.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.