増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅷ.感染症
1.細菌・クラミジア感染症の免疫検査
(3)消化管感染症
中尾 浩史
1
,
竹田 多恵
1
1国立小児病院小児医療研究センター感染症研究部
pp.269-271
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901964
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血清診断には病原菌の特徴に応じた特異的な抗体の検出が用いられることが多い.ここでは当研究室で行われている腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC)を例として説明する.EHECは出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome;HUS)を引き起こし,最悪の場合,死に至らしめることもある.わが国でも小児科領域での報告例は少なくない1).このEHECは赤痢菌の産生する志賀毒素に非常に類似した毒素(ベロ毒素:vero toxin;VT)を産生する.また,EHECに分類される大腸菌のほとんどは特定のO抗原型,例えばO157,O26などに属する.そのため,EHEC感染症の診断には患者血清中に存在するVTおよびリポ多糖(lipopolysaccharide;LPS,グラム陰性桿菌外膜の構成成分でO抗原の決定因子を含む,図1)に対する抗体価をELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)で測定している.
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