増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅳ.尿中微量蛋白
1.尿中低分子蛋白質—β2-m,α1-mを中心に
山口 哲司
1
,
伊藤 喜久
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.195-196
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901938
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低分子蛋白質(low molecular weight protein;LMWP)はミクロプロテインとも呼ばれ,分子量5万以下の蛋白質群(表1)で,正常状態で腎糸球体基底膜を容易に通過し,腎尿細管上皮で異化,再吸収されてごく一部が尿中に排泄される.ここでは,本邦で臨床的に広く利用されているβ2-ミクログロブリン(B2-microglobulin;β2-m),α1-ミクログロブリン(α1-microglobulin;α1-m)を中心に以下に紹介する.
β2-mは分子量11,800,99個のアミノ酸残基から成る単鎖ポリペプチドで,主要組織適合抗原であるHLAクラスI抗原のL鎖であり,リンパ球,単球細胞など免疫担当細胞に在存分布し,免疫応答に重要な役割を担っている.生体内ではほとんどの有核細胞で産生され,血液,尿,体液中に微量に存在する.
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