増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅰ.ホルモン
1.下垂体
(1)GH,ソマトメジンC
中井 利昭
1
,
竹越 一博
2
1筑波大学臨床医学系臨床病理(検査部)
2獨協医科大学内科
pp.86-88
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901893
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■臨床的意義
成長ホルモン(growth hormone;GH)は,成長促進作用(骨増生作用)および蛋白・脂質・糖・電解質など広範な物質代謝に関与している下垂体前葉ホルモンである.これらの作用の中で,主要な骨増生作用,蛋白合成促進作用の一部については,GHを介して分泌されるソマトメジンCがあずかっている.ソマトメジンCは,図1のように,下垂体から分泌されたGHが肝などソマトメジン産生細胞に働き,分泌されるものである.最近はソマトメジンCをIGF-Ⅰ(insulin-like growth factor-Ⅰ)と呼ぶよう提案されているが,ソマトメジンCの呼び名がなお用いられることが多い.
GHの分泌は,成長ホルモン分泌促進因子(GRF)と成長ホルモン分泌抑制因子(GIF)によって調節されている.GIFはソマトスタチンであり,GHのみでなくTSHの分泌をも抑制している.このソマトスタチンは主に視床下部の前視索領域で生合成される.一方,GRFは主として弓状核および腹側内側核で生合成される.運動,食事などの代謝因子,いろいろなストレス,睡眠などが視床下部に感知され,それに応じて分泌されたGRF,GIFが下垂体門脈系を介して下垂体に達してGH放出が調節される(図1).
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