- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
LDLレセプターとコレステロール代謝
低比重リポ蛋白レセプター(LDL-R)は,コレステロール(Chol)合成の律速酵素である3-ヒドロキシー3-メチルグルタリルコエンザイム(3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A;HMG-CoA)還元酵素(reductase)活性とともに,血清Cholを制御する重要な因子である1,2).図1に示すようにLDL-Rは肝および肝以外の組織に大別される.血清Cholはその75%がLDL,Cholとして運搬され,細胞表面のLDL-Rを介して細胞内に取り込まれる.図2に細胞内Chol代謝とLDL-Rの関係を示した3).
LDL-Rは分子量120,000の前駆体として合成された後,Golgi装置にて糖鎖を付加され,分子量160,000となり,細胞表面に出る.ここでLDLと結合しcoatedpitと呼ばれる陥凹部に集まる.その後,細胞内部にくびれ込み(coated vesicle),ライソゾーム(lysosome)と癒合する.そこでLDLのアポ蛋白はアミノ酸に,Chol-エステルは遊離Cholに水解される.こうして生じた細胞内遊離Cholは,細胞膜の構成,ステロイドホルモン産生(副腎,性腺),胆汁酸合成(肝)に利用されるほか,以下の作用により細胞内Cholのホメオスターシスに関与している.すなわち,①Cholをエステル化するアシル-CoA-コレステロール転換酵素(acylCoA-cholesterol transferase:ACAT)を活性化し,過剰の遊離CholをChol-エステルとして貯蔵する,②Chol合成の律速酵素HMG-CoA還元酵素を抑制する,③LDL-Rの合成を抑制し細胞内へのChol取り込み過剰を阻止する,などの役割を有する.このようなメカニズムにより,血中LDL-Cholを反映して細胞内Chol「調節される.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.