特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
9 リポ蛋白レセプター
3.スカベンジャーレセプター
飯村 康夫
1
,
櫻林 郁之介
1
Yasuo IIMURA
1
,
Ikunosuke SAKURABAYASHI
1
1自治医科大学臨床病理学講座
pp.1486-1489
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917563
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スカベンジャーレセプターとは
LDLレセプターが欠損している家族性高コレステロール血症ホモ接合体患者においても血漿LDLが細胞内で異化されているが,この異化に関与する代謝経路はLDL経路(pathway)とは異なる経路で,スカベンジャー経路(scavenger pathway)と呼ばれており,正常人においてもこの経路が利用されている(図).この経路を持つ細胞がスカベンジャー細胞(scavengercell)と呼ばれるもので,マクロファージや肝のKupffer細胞などがそれである.
正常LDLはマクロファージに取り込まれないが,種々の化学的修飾を加えたLDL (変性LDL)やIII型高脂血症患者で認められるβ—VLDLは積極的に取り込まれる.これはマクロファージの細胞表面にこれらと結合しうる特異的なレセプターが存在するためで,このレセプターをスカベンジャーレセプターと呼ぶ.なお,このレセプターは1種類ではなく,数種類存在すると考えられている.つまり,変性LDLの中でもアセチル化LDLとデキストラン硫酸結合LDLとでは細胞表面の結合部位が互に異なっており,またこの両者とβ—VLDLとでも結合部位の相違が認められるからである.
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