増刊号 臨床化学実践マニュアル
V.分析基礎技術
4.酵素的分析法
酵素的分析法
松本 宏治郎
1
1東邦大学薬学部臨床化学
pp.279-286
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901550
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
酵素を用いる分析法は,反応が緩和な条件で短時間に進行し特異的であることから,複雑な共存系である血清や尿試料を分析対象とする臨床化学検査では,免疫化学的分析法とともに,生物学的親和性を利用した分析法の代表として欠くことのできない分析法となっている.ほとんどの生体成分は,生体の物質代謝の産物,すなわち酵素反応の産物であるので,原理的には酵素反応の組み合わせにより,これらの測定が可能である.しかしながら,分析対象が広がるに従い,このような酵素的分析法に対する神話も,一部再考する必要が生じている.免疫化学的分析法では,抗体の交差反応性が問題となるのと同様に,酵素の基質特異性はそれほど厳密なものではなく,測定対象が微量になれば,非特異的反応が相対的に無視できなくなる.また,酵素試薬の純度や安定性には十分な考慮が必要である.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.