技術解説
固定化酵素による臨床分析
遠藤 治郎
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.487-493
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914742
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臨床分析における酵素の利用は幾つかの利点がある.酵素は定量しようとする物質に対し反応特異性が高く,かつ温和な条件で反応を遂行させうる.更に数種の酵素反応を組み合わせて検出しやすい物質に転換させ,その量を基質濃度と比例させて定量することもできる1).ここで言う酵素の利用は言うまでもなく酵素の持つ触媒作用を利用したいわけであるから,その目的によりかなうように酵素に修飾を加えたものが固定化酵素(immobilized enzyme)である.固定化酵素は,何らかの方法で酵素同志を結合させたり,不溶性支持体に結合させたり,支持体の網目または膜の中に閉じ込めたりしているが,しかも触媒能力を持っている一種の固型触媒のような状態にある酵素のことである.そうした性質を持たせることによって,連続酵素反応を行わせることができ,また反応終了後は容易に回収して再利用できる状態の酵素と言うこともできる2,3).
固定化酵素は,適当な形に成形できれば自動分析計に組み入れることができる.そのシステムは単純化され小型化されるであろう,また酵素試薬の調整・保存に伴う諸問題が軽減される.本稿では最初に酵素の固定化について触れ,次いで臨床分析に使用できる固定化酵素を組み入れた装置の構成について述べてみたい.
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