検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
酵素共役分析系の基礎理論(I)—酵素反応の検出系と酵素共役分析系
加野 象次郎
1
1慶応義塾大学病院中央臨床検査部臨床化学
pp.610-613
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205352
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酵素を試薬として用いる酵素的測定法(enzymatic analysis)は,その優れた反応特異性と高い触媒能により,複雑な生体試料多成分系の分析に欠くことのできない分析技術となりつつある.それは,臨床化学分析に要求される幾つかの条件を満たすとともに(表1),もう一方の柱である免疫学的測定法と相まって,生命現象の有する特異的な触媒反応と認識機構を活用するという点で,分析化学の概念を大きく変貌させつつある.更に,このような流れを遺伝子工学などの新たな人類技術の展開の下で考えるとき,近い将来における臨床化学分析のあるべき姿は,極めて興味深いものが予想される.
さて本稿の目的は,このような酵素的測定法の中でも,対象とするある酵素反応に別の酵素反応を連鎖共役させる酵素共役分析系についての基礎理論を述べることにある.まず,本号においては酵素反応全体について検出系との関連を中心に解説し,その中で酵素共役分析系の位置づけを行う.次号以降にて,酵素共役分析系を酵素活性測定と基質測定に分け,それぞれ速度論による基礎理論と条件設定の考え方,及び問題点について取り扱う.
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