増刊号 臨床化学実践マニュアル
II.日常検査における異常値への対応
12.血液ガス,浸透圧,粘度
(3)粘度
内村 功
1
1東京医科歯科大学医学部第3内科
pp.190-191
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901528
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はじめに
粘度は物体の持つ粘り気に関する検査である.物が流れるとき,その流体は変形しなくてはならない.この変形をずりと呼んでいるが,このときかかる力をずり応力と呼ぶ1).時間に伴ってずりは増加するのでその割合をずり速度と呼び,このときのずり速度とずり応力の比を粘度と定義している.
粘度の測定は主として血液について行われるが,時には胆汁や喀痰,涙液などにも応用される.血液の粘性は血液の流動特性を決定し,その増加はいろいろな疾患で血行障害を起こしている2).炎症による胆汁や喀痰の粘性上昇は排出困難を起こしやすくする.また血液粘度は血沈のように炎症状態のマーカーとしても使用しうる.本稿では血液粘度についてその異常値に対する対策を考えてみる.
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