増刊号 尿検査法
II.各論
24.尿細胞診
(8)尿細胞診における特殊検査
伊藤 仁
1
,
長村 義之
2
1東海大学医学部附属病院病理診断科
2東海大学医学部病理学教室
pp.312-313
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901164
- 有料閲覧
- 文献概要
尿細胞診は,良性病変ではクラミジア,ヘルペスなどの感染症,癌では膀胱腫瘍をはじめ尿管,尿道,腎,前立腺などの腫瘍細胞およびその他の転移性腫瘍などが対象となる.出現しうる癌細胞は移行上皮癌,腺癌,扁平上皮癌などと多彩であるが,尿中で見られる悪性細胞のほとんどは移行上皮癌である.尿細胞診に応用されている特殊染色としては,PAS染色,アルシアン青染色や酵素抗体法などがある.PAS,アルシアン青は主として腺癌と移行上皮癌との鑑別に有用である.酵素抗体法は各種感染症の病原体の同定や癌の組織型および原発巣の推定などに応用される.
本稿では,種々の抗原の観察を可能にする酵素抗体法につき,その方法と細胞診への応用について述る.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.