増刊号 尿検査法
II.各論
24.尿細胞診
(7)判定の実際・4(変性とアーチファクト)
提嶋 眞人
1
1秋田大学医学部附属病院中央検査部
pp.310-311
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901163
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尿細胞診の利点として,簡便に検査を繰り返すことが可能であり,苦痛を伴わず泌尿器系腫瘍の診断や治療後の経過観察に非常に適していることがあげられる.一方,上皮細胞は剥離後尿中にある時間浮遊するため浸透圧の影響を受けて変性しやすいといわれており,さらに炎症や治療などが加わると良性異型細胞や癌細胞の場合に特に良性・悪性の判定に迷うことが少なくない.また鑑別困難な病変(乳頭腫,移行上皮癌G1,過形成)に変性が加わった場合,鑑別はいっそう困難となる.
本稿では出現しうる変性細胞像について記述し,さらに判定するうえでのいくつかの留意点について述べ参考に供したい.
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