増刊号 尿検査法
II.各論
10.酵素
(2)NAG
風間 武
1
1千葉大学医学部附属病院検査部
pp.132-133
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901093
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はじめに
N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(N-acetyl-β-D-glucosaminidase;NAG,EC 3.2.1.30)は組織細胞のライソゾームに存在する加水分解酵素のひとつで,ムコ多糖類や糖蛋白の分解に関与している.
NAGは組織中に広く分布し血清中にも存在するが,腎では近位尿細管上皮細胞に多く含まれ,尿中に排泄されるNAGはほとんどが尿細管由来と考えられている.腎障害により尿中NAG排泄量は増加し,腎不全,糸球体腎炎,ネフローゼ症候群などの各種腎疾患で活性値が上昇するほか,腎移植後の拒絶反応の早期診断や,アミノグリコシド系抗生物質の腎毒性の指標としてもその有用性が報告されている.尿中NAGアイソザイムには通常A,B分画があり,糸球体障害を中心とする疾患ではA分画,間質性腎障害ではB分画の上昇傾向がみられる1).
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