増刊号 尿検査法
II.各論
10.酵素
(1)アミラーゼ
杉田 収
1
1新潟大学医学部附属病院検査部
pp.130-131
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901092
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はじめに
アミラーゼ(amylase;AMY,EC 3.2.1.1)は膵臓と唾液腺で主に産出され,消化管に分泌される.アミラーゼの分子量は,ヒト膵型は6万,唾液腺型は6.1万と6.4万の2種類である1).尿にはどちらのアミラーゼも排出されるが,分子量の小さい膵型アミラーゼは,より排出されやすい.
アミラーゼの測定は,主に急性膵炎の診断に有用であるが,このほかの膵型アミラーゼの上昇する疾患としては,慢性膵炎の再燃時,膵癌,膵嚢腫,逆行性胆道膵管造影術施行後,胆道系の炎症性疾患などがあげられる.また唾液腺由来のアミラーゼ上昇を伴う疾患としては,流行性耳下腺炎,ショック後,神経性食思不振症,糖尿病,人工心肺使用後,肺癌,肺炎,オピスタンなどの薬剤使用などがあげられる.一方,血清アミラーゼは高値であるにもかかわらず,尿アミラーゼが低値の場合は,マクロアミラーゼが推定される.
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