増刊号 尿検査法
II.各論
3.尿蛋白
(4)β2-ミクログロブリン
伊藤 喜久
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.80-81
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901074
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はじめに
β2-ミクログロブリン(β2-microglobulin;β2-m)は,1968年,Berggårdらによってカドミウム中毒症患者から分離精製された分子量11,800,アミノ酸残基99個から成る単一ポリペプチドである.β2-mは,主要組織適合抗原であるHLAクラスⅠ抗原のL鎖として,全身有核細胞の細胞膜表面,ことにリンパ球,単球細胞など免疫担当細胞に豊富に存在分布し,免疫応答に重要な役割を担っている.
β2-mは低分子であるために,腎糸球体基底膜を容易に通過し,腎尿細管上皮で異化,再吸収されて,ごく一部が尿中に排泄されるにすぎない.このことから血中,尿中β2-mの測定は,自己免疫疾患,ウイルス感染症や悪性腫瘍(腎前性増加),糸球体障害,尿細管障害などの病態診断,治療予後の指標のひとつとして広く用いられている.
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