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レムナント様粒子
野間 昭夫
1
1岐阜大学医学部臨床検査医学教室
pp.446-447
発行日 1992年5月1日
Published Date 1992/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901041
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ヒトアポリポ蛋白Bには小腸で合成されカイロミクロンを形成するアポB-48と,肝で合成された超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)に存在するアポB-100とがあることはよく知られている.このように異種のリポ蛋白に存在するところから,一方のみに反応するモノクローナル抗体の作製が試みられている.日本抗体研究所が開発した抗ヒトアポA-Iモノクローナル抗体と抗ヒトアポB-100モノクローナル抗体の両者を固相化した免疫アフィニティ混合ゲルと血清とを反応させた際に,そのいずれの抗体とも反応しない分画中のリポ蛋白を最初リポZと命名した.これを種々検討した結果,レムナントリポ蛋白を多く含むことよりレムナント様粒子(remnant like particle;RLP)と呼ばれるようになった.
カイロミクロンとVLDLは由来こそ異なるが,ともにトリグリセリドに富むリポ蛋白であり,血中でリポ蛋白リパーゼの作用を受けて,トリグリセリドやリン脂質が水解されて粒子径が小さくなるとともに,アポB(カイロミクロン由来のものはアポB-48,VLDL由来のものはアポB-100)を有し,いまだにトリグリセリド・リッチであり,その他コレステロールエステルとアポEを比較的多く含んだレムナントリポ蛋白に変化する.
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