増刊号 血液・尿以外の体液検査法
資料
超音波顕微鏡
伊東 紘一
1
1自治医科大学臨床病理部
pp.883-885
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900265
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超音波顕微鏡の登場
物の形態はマクロレベルとミクロレベルとで観察される.マクロは肉眼で観察されるレベルを示している.ミクロとは肉眼で見ることのできないレベルの細かな部分を,レンズなどを利用して拡大して観察する場合を意味している.ミクロの世界は顕微鏡の発明により開かれてきた.光学顕微鏡によって生体内部の微細な構造や細胞,さらに細胞の内部の構造までもが観察されるようになった.次には電子顕微鏡の発達によってさらに細かな構造を見ることができるようになり,分子や原子のレベルの観察まで可能になってきている.また立体視するために位相差顕微鏡,走査型電子顕微鏡なども出現した.このように光学顕微鏡と電子顕微鏡とによってミクロの世界が開けてきたわけであるが,ここに新しい第三の顕微鏡として超音波顕微鏡が現われた.
超音波顕微鏡はソ連の物理学者S.Y.Sokolov(1936)により提案され,近年C.F.QuateやL.W.Kesslerらにより使用可能な装置として完成された.日本においても東北大学の中鉢らによる研究がある.Kesslerらの装置は一台日本に入っているようであるが,医学方面には利用されていない.オリンパスや日立ではすでに超音波顕微鏡を完成させている.Kesslerの方式はレーザー干渉縞を利用するものであるのに対して,多くの研究者が用いているのはQuate方式の機械走査によるものである.
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