増刊号 血液・尿以外の体液検査法
21 腟・頸管分泌液
D.微生物学的検査
山 博
1
1星ヶ丘厚生年金病院検査部
pp.823-826
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900245
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常在菌
腟の常在菌は,卵巣機能,腟上皮細胞のグリコーゲン量と密接な関係があり,一度に完成するものではない.誕生数時間後には,Staphylococcus属菌,Enterococcus属菌,Corynebacterium属菌,Lactobacillus属菌が増殖してくる.母体から受け取った女性ホルモンの働きによって腟内にグリコーゲンが作られ,これを細菌が分解して酸を産生するために腟内は酸性となり,その選択性によってLactobacillus属菌のみが生残する.しかし,ホルモンが消費されてしまうとともに,腟内pHは上がりCorynebacterium属菌,Staphylococcus属菌,Micrococcus属菌,Escherichia coli,Candida属菌,嫌気性菌などが増殖してくる.その後,思春期に至り,女性ホルモンの分泌が開始されると再びLactobacillus属菌が最も多くなり,分泌液1ml当たり約108程度になる.月経閉止とともに菌叢は変動し,いろいろな菌が検出される.
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