増刊号 血液・尿以外の体液検査法
5 乳汁
D.微生物学的検査
辨野 義己
1
1理化学研究所ライフサイエンス培養生物部
pp.591-593
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900168
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検査の意義
母乳は,新生児にとって栄養学的に最も優れた食物であるとともに,感染症1,2)や壊死性腸炎3)の防止にも有効とされている.一方,母乳にはコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative staphylococci;CNS),α-溶血性レンサ球菌(α-hemolytic streptococci),コリネフォルム細菌および皮膚常在フローラなどが常に含まれている4〜6).また,女性の5〜15%の母乳中にGram陰性桿菌が存在していることも知られている7).しかしながら,母乳中のこれらの存在とその菌数についての安全領域とはいかなるものなのかはよく知られていない.乳汁の微生物学的検査の意義として,①乳房組織内の術後感染症の診断,および②乳児の口腔および消化管内感染症の診断などの起因菌の検査が挙げられる.
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