増刊号 血液・尿以外の体液検査法
21 腟・頸管分泌液
C.生化学検査
岡本 良平
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所
pp.821-823
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900244
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腟分泌液
腟は重層扁平上皮に覆われていて腺構造がないから,正確にいえば腟分泌液は存在しない.しかし,上位にある卵管,子宮内膜,頸管からの分泌液,あるいは腟壁からの濾出液がたまっていて,この中には各種の酵素,グロブリンなどの蛋白,酸,芳香族化合物などが含まれている.臨床的には,細胞・組織学的,あるいは微生物学的検査が主で,生化学的検査はそれほど行われない.しかし性暴行の時期の判断など法医学的には生化学的検査の意義が大きい.ここには腟分泌液についてのItoh & Manakaの報告1)を紹介する.
試料は消毒した綿ガーゼで腟内から採取し,5〜10mlの食塩水に浸して3,500rpmの遠心により細胞残渣を除く.上清は口径0.45μmの膜で濾過してから濃縮し,測定まで-20℃で保存する.産婦人科疾患による血液または精液の混じっている場合は使用しない.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.