増刊号 血液・尿以外の体液検査法
13 関節液
D.微生物学的検査
酒井 美智子
1
,
相原 雅典
1
1天理よろづ相談所病院臨床病理部
pp.712-714
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900206
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はじめに
感染性関節炎は共存する他の感染病巣から血行性に病原菌が伝播されて起きるいわゆるseptic arthritisが最も重要な成因であるが,汚染粘膜での侵襲性の高い医療処置,あるいは関節腔内への薬物の注入および人工関節置換術により感染が成立することも少なくはない.本症は単独で患者の生命に影響を及ぼすほどの疾患ではないが,診断・治療の遅れは病巣となった関節軟骨の速やかな破壊と骨変性を招き,難治化や治癒後の関節機能の損失の原因となる.感染性関節炎の診断は,関節液からの病原菌検出が決め手となる.しかし,関節液の細菌学的検査だけでは本症の原因となる多様な病原菌を検出することは困難であり,血液培養の併用や免疫学的診断法を駆使した検査体系の確立が必要である.
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