増刊号 血液・尿以外の体液検査法
8 胆汁
A.総論
石原 扶美武
1
,
亀田 治男
1
1東京慈恵会医科大学第1内科
pp.621-624
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900180
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検査の意義
胆汁は正常の状態では持続的に肝から分泌されて胆管へ排泄され,主として胆嚢に貯留されて,食餌の十二指腸への到達による刺激によって再び胆管を経て腸管へ放出される.この間,貯留,濃縮,排泄,胆道内圧調節などの多くの機能が営まれているが,これには自律神経,内分泌性反応,食餌,心因性などの多くの因子が関与していると考えられているが,なお不明確な問題も残されている.肝で生成され胆道に排出される胆汁量は1日約500〜1,200ml,平均800mlであるが,その人の状態によって変動するし,1日の間でも一定しているとは限らない.
胆汁採取法としては,かつてはMeltzer-Lyon法と呼ばれる十二指腸ゾンデによる方法および術後に総担管に留置したTチューブから採取する方法が主なものであったが,最近は各種胆道ドレナージ法が発達した結果,ドレナージチューブからの採取法も一般的なものとなってきている.十二指腸ゾンデ法により得られる胆汁は,まず最初に採取される胆管内胆汁(A胆汁),胆嚢内に貯留して濃縮されている胆嚢胆汁(B胆汁),肝臓から流出したままの肝胆汁(C胆汁)と区別して呼ばれている.
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