増刊号 血液・尿以外の体液検査法
5 乳汁
A.総論
吉川 明男
1
,
小池 通夫
1
1和歌山県立医科大学小児科
pp.579-580
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900165
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はじめに
乳汁は《栄養》として児という他者に利用される点で,他の体液とは根本的に異なる.したがって,その分析は診断治療の目的ではなく,栄養成分としての価値の検討を主眼としてきた.最近,ようやく乳汁中薬物分析,乳汁汚染(農薬,重金属)など,乳汁本来の成分以外の物質の分析も行われるようになった.感染防御の観点から,母乳中液性免疫物質や細胞の役割,さらに脳神経系発達との関連も強調されている,精神面からは母児相互作用の研究が進められ,児のパーソナリティー形成や授乳で母に生じる変化などの知識が積み重ねられてきている.
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