増刊号 血液・尿以外の体液検査法
12 羊水
D.微生物学的検査
松田 静治
1
1江東病院
pp.695-697
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900201
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羊水検査の意義
胎児の情報源である羊水が妊娠,分娩時に果たす役割は極めて大きく,非適時破水をきたすと微弱陣痛,遷延分娩,fetal distressなどを招来したり,上行性羊水感染(胎児,新生児感染),母体の子宮内感染を起こしたりする危険が予測されるため,これに対する対策は重要である.羊水感染は主として腟内細菌が上行性に羊膜腔に達し,児の肺炎,髄膜炎,中耳炎,副鼻腔炎,胃腸炎,皮膚炎などを起こす場合と,これに合併して胎盤炎から胎児に及ぶ血行播種型(敗血症)の形をとるものとがある.
羊水感染の検出菌は表10のとおりで,このうちEscherichia coli(大腸菌)が最も多く,そのほかStaphylococcus(ブドウ球菌),Streptococcus(レンサ球菌;最近はB群レンサ球菌感染など)などもみられる.ここで話題として取り上げるものは,B群レンサ球菌(group-B streptococci)による新生児感染症である.
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