今月の主題 アルコール
技術解説
アルコール性肝障害
佐々木 憲一
1
,
奥平 雅彦
1
Kenichi SASAKI
1
,
Masahiko OKUDAIRA
1
1北里大学医学部病理学教室
pp.7-12
発行日 1985年1月15日
Published Date 1985/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912462
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肝炎ウイルス感染がきわめて高頻度に起こっているわが国では,従来より肝障害というとまず肝炎ウイルスによるものと考えるのが一般的であった.しかし高田1),武内ら2)が指摘しているように,近年日本人のアルコール消費量が急速に伸び,国民1人当たりの年間アルコール消費量が,ここ20年間で3倍以上に増加している.これに伴って,わが国でもアルコール性肝障害患者が増加し,肝生検例あるいは剖検例でアルコール性肝障害例をみる機会が多くなった.
アルコール性肝障害の形態学的あるいは組織学的変化については,欧米の文献に多く記載されているが,わが国での肝の組織学的変化は,欧米のものに比較して軽いものが多く,アルコール多飲の病歴がありながら,アルコールに由来する肝障害と同定することが困難なことが少なくないと考える.
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