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COPD死亡率減少に向けた日本呼吸器学会の取り組み—COMORE-By2032
川山 智隆
1
1久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門
pp.1034-1038
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209441
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はじめに
令和5年5月31日「健康日本21(第三次)」の基本方針が公表され,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の対策としては,「健康日本21(第二次)」(2013年公布)の目標であった認知度向上を引き続き行うことに加え,「発症予防,早期発見・治療介入,重症化予防」など総合的に対策を講じていくことが示された1).また,令和3年度のCOPD死亡者数13.3人/人口10万人を,令和14年までに10.0人まで減少させるという新たな目標が掲げられた.日本呼吸器学会は健康日本21(第三次)の方針に対応すべくProject for COPD MOrtality REduction BY 2032(COMORE-By2032プロジェクト)を立ち上げた(図1)2).この背景にはCOPD認知度が低く,死亡率が高い日本の現状がある.日本では推定COPD患者数530万人に対して3),医療機関通院者数は22万人(全体の5%)に留まる1).早期治療介入の意義は証明されているにもかかわらず,早期発見が追い付いていない4,5).COPDの診断遅れの1つに診断確定に必須である肺機能検査の低普及率や結果解釈の難解さが挙げられる.COPDの病態を正しく評価する上で,肺機能検査への理解を深めることが先決である.
本稿では健康日本21に対するCOMORE-By2032の目的を達成するために肺機能からみたCOPDの病態について解説する.
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