ワンポイントアドバイス
肺拡散能力検査における妥当性のポイント
藤澤 義久
1
1滋賀医科大学医学部附属病院検査部
pp.452-454
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209301
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はじめに
肺拡散能力は,呼吸器系の機能の1つで,酸素(O2)を肺胞から毛細血管膜を通して血液中に供給する指標である.本来はO2の拡散能力を測定したいのだが,原理的に困難である.従って,被験者が一酸化炭素(CO)を吸入し,そのガスが肺胞から血液中にどれだけ迅速に移動するか,一酸化炭素肺拡散能力(diffusing capacity of the lungs for carbon monoxide:DLCO)を測定して代用している.DLCOは,肺疾患の早期検出や進行のモニタリング,治療効果の評価,また近年広く使用されているがん治療における分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の,薬剤による副作用の確認などに役立つ.
測定方法は1回呼吸法(single breath method)が,速やかに行うことができ,再現性が高いため,現在ほとんどの施設で行われている.しかし,被検者の状態や病態によっては必ずしも容易ではなく,多くの事項に注意を払った上で検査を行う必要がある.本稿では,1回呼吸法における妥当性の確認のポイントについて解説する.
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