FOCUS
Rapid antimicrobial susceptibility testing(RAST)の有用性と限界
大瀧 博文
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1関西医療大学大学院保健医療学研究科
pp.424-426
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209293
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はじめに
微生物検査室に提出されるさまざまな検体の中で,血液培養ボトルは特に重要な検体として位置付けられる.このボトルから細菌が検出されることは菌血症を意味し,いわゆるパニック値に相当する(コンタミネーション例を除く).パニック値の場合は主治医などに至急連絡するのが通例であるが,自動化が進み24時間体制で円滑な報告が可能な生化学検査などとは異なり,いくつかの用手的,経験的要素が伴うこの検査の運用は,施設間でばらつきがあるのが実際である.また,迅速に最終報告まで至る他の検査と異なり,血液培養検査は中間報告が極めて重要となる.陽性ボトル内容液を用いた中間報告は,グラム染色標本の鏡検や質量分析による同定は速やかな対応が可能であるが,薬剤感受性検査の場合には時間を要することが以前からの課題であった.European Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing(EUCAST)は,2018年から血液培養検査で陽性となったボトルの内容液を直接的に薬剤試験に用いるrapid antimicrobial susceptibility testing(RAST)を推奨している.今回はRASTの発表から約6年が経過したこともあり,最新の文書1,2)に記載された方法を確認するとともに,本法の有用性と限界について考察していきたい.
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