FOCUS
髄膜炎の迅速診断
水野 真介
1
,
笠井 正志
1
1兵庫県立こども病院感染症内科
pp.1280-1283
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209169
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はじめに
従来,感染症診療における遺伝子検査は,主に,遅発育性細菌や培養・同定が困難な細菌,抗原検査キットが市販されていないウイルスの検出などのために用いられてきた.遺伝子検査には知識や技術,特殊な機器が必要で,時間と費用もかかるため,限られた施設でのみ導入されていた.しかし近年では,核酸の抽出から増幅,検出まで迅速かつ簡便に行える機器が登場しており,特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行を契機に,遺伝子検査は全国規模で広まった.
遺伝子検査は呼吸器感染症診断以外にも応用されており,菌血症に対する核酸多項目同時検出が2017年6月より保険収載され,最適な抗菌薬治療開始までの時間を短縮する効果などの有用性が報告されている.髄膜炎・脳炎に対しては,2015年10月に米国食品医薬品局により,脳脊髄液検体を用いたウイルス・細菌核酸多項目同時検出が承認されていた.わが国でも2022年10月より,保険請求が可能となったため,今後は全国的に普及が進むと考えられる.
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