- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
4つのDOACの作用機序と大規模試験の評価ポイント
わが国では2011年から,相次いで新規機序の抗凝固薬が使用できるようになり,現在4種類が使用できる(表1)1).名称としては,非ビタミンK依存性抗凝固薬(non-vitamin K dependent anticoagulant:NOAC),あるいは経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)という名称が一般的となっている.ダビガトランはトロンビンの活性部位に直接かつ可逆的に結合することで,フィブリノゲンからフィブリンへの変換作用を阻害することで血栓形成を抑制する.活性化第Ⅹ因子(FⅩa)阻害薬(リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン)はトロンビンの生成を誘導するFⅩaの活性を阻害することでトロンビンの生成を阻害し,ひいては血栓形成を抑制する.いずれの薬剤も,服用後の効果発現は速やかで,血中半減期はおおむね12時間程度である.
DOACの臨床的有用性を検討した大規模試験を評価する際には,いずれの試験も非弁膜症性心房細動患者を対象としていることの他にいくつかのポイントがある.①まず対象となった患者群のCHADS2スコアである.抗凝固薬の利益・不利益のバランスは,CHADS2スコアが高いほうが一般に利益が大きいほうに傾く.そのため,CHADS2スコア2点以上で有用であったとしても1点で有用であるとは限らない.②次に,対照となったワルファリン群のTTRである(TTRについては後述).過去の多数の報告があるようにTTRと心原性塞栓,大出血,生命予後は相関がある.不十分な質のワルファリン治療を対照とした試験では,薬剤の評価は的確に行うことができない.③また減量基準を決め,2つの用量を使用した試験(3つのFⅩa阻害薬)では,そのような基準に従って使用した場合の成績であると認識すべきである.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.